洗足駅プチさんぽ

最近用事があってよく東急目黒線に乗る。

目黒線はもともと、現在の東急多摩川線と一体で「目蒲線」として運行していた。目黒と蒲田で目蒲線だ。地下鉄との直通運転をすることになり、目黒線となった区間は今まで3両編成の電車がトコトコ走っていたローカル線から、通勤電車の行き交う路線に変わり、いまや東急電鉄の幹線に成長したのである。

 

その目黒線への改良工事の過程でいくつかの駅は地下に潜り、ボケーッと電車に乗っているといくつかの地下駅を通過する。

そんな中の「洗足駅」、駅の前後が掘割になっていて少しだけ外が見えるのだが、この少しだけ見える、というのがとても気になる。

 

一体どんな駅で、どんな街なんだろう…。

いつか降りて見てみたいと思いつつ、面倒くさくなったり、あるいは時間がなくなってついついそのまますっ飛ばしてしまうのだが、先日いつもより少し早い電車に乗り、どんな感じなのかと、重い腰を上げて洗足駅で下車してみた。

青いタイルを中心に清冽な印象でまとめられたホーム。東急電車はいちいちオシャレだ。

駅を降りて周辺を少し歩いてみる。

目黒線になって都心へ直通するようになってから、沿線の不動産価値もかなり上がったのだろうと邪推する。もとより天下の東急ブランドに目黒区アドレス…やはり高級住宅街らしい雰囲気がなんとなく漂い、新しく清洒なマンションが目立つ。

 

 

そしてその合間には、古くからの建物も割と多く残っていて、こちらは「目蒲線」だった頃の街の名残をよく伝えている。

この昔懐かしい雰囲気の長屋の横にベンツが停めてある様子、目蒲線目黒線の時代が交差する、象徴的な風景だ。

 

 

その後も少し街中をぷらっと歩いてから、駅方面に戻る。どことなく洋館を思わせるレトロなマンション、都心で時折見るシリーズのマンションだろうか。イマドキの豪華なマンションとはベクトルが違うけど、悪くない雰囲気である。

ちょっと履き違えた感じのゴージャス、要所要所に垣間見える、なりきれていない団地っぽさ。いいなあ。

やっぱり目黒線よりは、目蒲線な雰囲気だ。

 

 

さて時間もなくなってきたので駅に戻ろう。洗足駅には冷凍ピザの自販機があって、ちょっと興味をそそられたが、さすがに用事を済ませてきてからでは溶けてしまう。これはこれから電車に乗る人というよりは、降りてきた人向けの商品になるだろう。案外本格的な出で立ちで美味しそうだ。

 

 

そんな訳でプチさんぽは終了。

駅の周りをダイジェストでお送りしただけで、とはいえこの街のことはまだ何も知らないのだが、それでも掘割の上にちょこんと見えていた街並みの雰囲気はよく感じられて、悪くない途中下車だった。